写真をご覧いただくまえに一言
ミュンヘンが札幌の姉妹都市になったのが1959年、ミュンヘンの駅前通りにあたるノイハイザー/カウフィンガー通りの全面歩行者専用道路化が実現したのが1972年、僕が見てきたのはその10年後の1982年だから、この時点でおそらく札幌市の市長をはじめとするお偉方はミュンヘンの変遷ぶりを何度も体験してきていることになる。こんなことを書くのは、ひと月の旅を終え、成田経由でJR札幌駅を降り立って眺めた街の光景が、何とも異様なものに思えた経験が忘れられず、それは市長らも感じたはずのものだと思うから。百聞は一見にしかずで、都市についていろいろ書いたり言っても、結局体験すればすぐわかっちゃうものなんだ。その異様さは自分が根無し草になったというか、生きる場所を見つけられないという感じで、だとすれば、その根拠をたどることこそ都市を管理する立場の人間の本来的な仕事であったはずだ、と僕は言いたいわけ。2001年5月の新聞で札幌市も駅前通りと大通り公園の本格的な歩行者専用化を考え始めたことが報じられたが、スーパーブロック構想からすればスケールの小さなもの、なんでこれだけ時間がかかってるんだ。僕も在職中スーパーブロックをあちこちでぶちかましたけど、問題点を論じようとするのではなく、たんなる口封じに合っちゃったもんね。市役所のみなさんは何度も生きられると思っているのかしら。今が一度しか生きられないものなら、いいものはいい、やるべきことはやる、悪いものは悪い、仕事をするならこれしか方法がないと思うんだが。
と、たらたらと愚痴をこぼしたのは、ミュンヘンの歩行者道路があまりにもすばらしく、本当は都市はこんなにもいい場所なんだ、そうなるようにちゃんと神様が見守っていれてくれるんだと思えたから。地球環境よりも構造改革よりも、もっと大事な問題が身近にあることを日本の都市生活者は気づいていない。
ノイハウザー/カウフィンガー通り平面図
ミュンヘン〜googleマップ
ミュンヘンのアルバム
撮影:1982年8月9日(月)と10日(火)